一つ一つの言葉の重み

s-s-IMG_0111s-s-IMG_0110
今日は緑育協会で1年間育てた草花でコサージュ講習会を行いました。春に種をまいたムギ・ワイルドオーツ・クロキビ・センニチコウなど、参加した方は喜んで作品を持って帰りました。

先週、京都在住の伊藤武樹木医先生と夜食事をして、深い話を聞くことが出来ました。
「キノコは菌類だから、世の中の植物分類でいう絶滅危惧種には入らない。しかし松林が減ってキノコの種類がものすごく減っている。菌根菌がなくなって、毒キノコ(腐生菌)が増えている」と。
50年以上、山のキノコと樹木の関係を調べつくしている先生の発言ですから重みがあります。
頭の悪い私は「先生、菌の種類が減ると何がどう困るのですか?」と。
目の前の酒のつまみのキノコのおろし和えを見て、「まずはおいしいキノコが食べられなくなる」と笑いながら答えてくれました。アミタケやイグチが減って、ベニタケやシロハツモドキが増えていると。
(松茸をはじめ、菌根菌のキノコは栽培が難しい)
「菌根を学ぶ人はキノコの種類が同定できないといかん」と言われましたが、私はキノコはまったくわかりません。ましてや属とか学名なんて無理です。
1年後に治療したマツを見に行くと、アミタケが出ていて、「あーマツと菌が共生したんだなー」と、数種覚えたくらいです。
キノコの菌の種類が減ると共生している樹木が弱り、森が衰弱するのでは?と、マツ枯れなどは落ち葉がたくさん積もって、菌根菌が減ったからマツが弱って、カミキリムシの被害にあうのではと。
だからマツを守るには、落ち葉の層を取り除かなくてはいけないということをほとんどの人はわからないだろうと思いました。
ほか鹿問題や、今度広く一般公開される修学院離宮の庭の話、南禅寺界隈の別荘の庭の話。御年80歳に近い先生の情熱はこちらにもビシビシ伝わってきます。一緒にいたK樹木医は「僕は庭の鑑賞の仕方が全く分からないから治療木しか見てこなかったけど」と。素直なお方。
私が自分はADHDかもしれないというと、「年を取れば全員自分勝手になり、興味のない話なんて聞きたくないものだよ。だって時間がないんだから。現に80歳のO先生なんて講習会の途中でいなくなってしまうんだよ」と。ほんと春はそうでした。
本との出会い。人との出会い。ご縁を大切にして諸先輩方の思いを伝え繋いでいきたいです。

樹木医

Posted by rinkasa